毎日が経営学

テクノロジーをビジネスにするための考え方を書いていくブログ

交渉で大切なことは、相手を打ち負かすことではない。相手が背景に持つロジックを変えること。

ライセンス交渉の研修を受けてきました。

大学の技術を企業に売り込み、
技術移転(ライセンス契約や共同研究締結にもっていく)が、私のメイン業務ですが、
相手企業との打ち合わせ、交渉の場で、
ライセンス料を何%にする、一時金を何百万円もらう、などといったお金に関する交渉が、
しばしば発生します。


私自身は、まだまだこの交渉の場というのは経験不足のため、
先日、研修を受けてきました。


そこで私は、交渉というもののやり方を、大きく勘違いしていたことに、気づきました。

ライセンス交渉に対する、以前までの私の考え方

特許料、売り上げの5%いただきます、
一時金1000万円いただきます
といった内容を、断固として崩さず、半ば喧嘩のような形でこちらの姿勢を崩さず、
その条件をどうにかして押し通すこと
これが交渉だと思っていました。
いや本気で。

相手の背景にあるロジックを聞き出し、それを変えることが交渉

ところが、交渉の場で大切なのは、
こちらの意見を理由なく押し通そうとすることではなく、
相手がもつロジックを聞き出して、そのロジックを変えること。

例えば、
ある技術のライセンス交渉をしている際に、
こちらの要求は一時金1000万円だが、
相手は100万円が妥当だという場合。

ここれで、正面から
「そんなものんは安い!大学の技術をバカにするな!!
おまえの企業がやらないのなら他の企業へもっていく!」
と、喧嘩をふっかけるのは良い方法ではない。

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「なぜ、100万円が妥当だと思われるのでしょう?」
「そもそも、どれくらいの市場でしょうかね?」
「何年後くらいに、ビジネスとして走り出しそうでしょうか」
「最終製品の単価はいくらになりそうでしょう?」

などの、
相手が100万円を導き出している理由の部分を、
様々な切り口から聞き出す。

そして、そのロジックに対して、
こちらは、もっと大きなビジネスになると考えている!というアプローチをし、
相手の脳内で100万円が妥当だと考えていたロジックを、200万円が妥当、500万円が妥当、
という風に、金額をあげていく。


背景にあるロジックをこちらが書き換えて、
相手の頭にある、ある種の計算式のようなものが導き出す数字が上がるように、
しむける。
これが、ライセンス交渉の肝だと、教わりました。
これまでの私に無かった、すばらしい視点です。

相手のロジックを書き換えるために必要な力

では、この方法で交渉を成功させるためには、何が必要か。
大きく、2つくらいかなと思います。

  • 質問力・聞く力
  • 事前調査、ロジック形成


相手のロジックを書き換えるためには、そのロジック自体を正しく知る必要があるため、
まずは聞き出す必要があります。
なので、直球の質問ではなく、切り口を変えた様々な質問で、そのロジックを浮き彫りにしていく。
まさに質問力ですね。
また、そのロジックを書き換えるためには、こちらもロジックを用意していかないといけない。

相手のロジックを知るために:質問
相手のロジックを書き換えるために:調査・ロジックづくり


これを鍛えることで、交渉はどんどん上手になるのでは!
と思いました。


次の交渉や打ち合わせから、早速どんどん実践していきます。