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【書評】『社内失業 企業に捨てられた正社員』は実在する。私が会社で見たものと照らし合わせて。

社内失業 企業に捨てられた正社員 (双葉新書)

社内失業 企業に捨てられた正社員 (双葉新書)

社内失業という本の書評です。


この本には、正社員として入社したのに、
社内で仕事にありつけない『社内失業』状態に陥った人の事例が紹介されています。
若い人であれば、経験が積めないゆえに転職も難しく、でも今の職場で仕事を続けても、
経験を積めるわけではない・・・という、とても悪い循環ができてしまいます。
これらの内容が、非常に生々しく書かれていて、また私が過去に見たものとも一致しました。




この本の内容について、まず私の意見ですが、
この『社内失業』状態は、だれにでも有り得る状態だと思いますし、
過去に、社内失業状態にある同僚を見てきました。

私の経験と照らし合わせながら、
社内失業状態をどう回避したらいいのかの考えを述べます。



同僚Aさんが社内失業したケース

私の過去の職場に、Aさんという人がいました。
業務時間中にトイレで1時間近く寝たり、
ずーっとネットサーフィンしたりしていました。
Aさんは、1日8時間の業務時間中のうち仕事をしている時間は実質2時間とか3時間程度で、
それ以外の時間は暇をつぶしていました。
Aさんは、あまり主体的に仕事をすすめるタイプではなく、
基本的に仕事は割り振られたものだけをしていて、
会議でも発言は無し。
定期的な報告ミーティングで出す資料は常に同じところを注意されているが、
改善は見えない。

数年後、Aさんを含んだプロジェクトは残念ながら終結しました。
Aさんのまわりの人は様々な業務の経験を積めていたので、
他の仕事へ転職したり、部署を移動して活躍したりしましたが、
Aさんは業務経験に乏しく、また主体的に活動するタイプでもないので、
どこからもお声がかからず・・・・。


身近で見ていた私としては、かなりショッキングなケースですが、
これが、私が見た社内失業の現実です。



あらためて、社内失業状態とはどういう状態か

正社員として入社しているので、給料や福利厚生を受けているのは当然です。
ですが、仕事をほとんど割り振られない状態です。
パソコンの前に座ってるだけとか。

社内失業は、専門性の高い領域で起こりやすいのかな、と思います。
特定の人しか出来ない仕事だから、頭数は余っているけど、
特定の人に依頼するしかない。
これがエスカレートすると、仕事をもらえない人はどんどんもらえなくなり、
スキルがある人は超多忙になる。



社内失業状態は、他社の人には理解されない

社内失業状態を会社の外の人に相談しても、
「仕事は足で稼ぐもんだ」
「若いうちはなんでもやれ!」
「君が悪いんじゃないの?」
という答えが返ってくることが多い。
特に年配の人に相談しても、精神論しか返ってこないことが多い。
自分が主体的に仕事を取りに行く努力はしているのに、
相談してもその部分は理解してもらえず、
結局、
「最近の若いモンは、仕事の考え方がなっとらん」
って片付けられるのがオチ。
これなら相談しないほうが100倍マシです。



若い人の社内失業状態とはとても深刻

この社内失業状態に、もしも新入社員や若手社員がなってしまった場合、
とても深刻です。
定年間近で逃げ切ることが出来る社員とは違って、
若手社員はこれから何十年と仕事をしていかないといけない。
大切なのは今の給料がいくらもらえるかではなく、
給料の成長曲線をつくるための、経験を積むこと。
会社にはいってすぐ社内失業状態になって、
その経験が積めなければ、先が見えない。
今月の給料18万円が低いとか高いとか、そういうレベルの話では無いわけです。
未来への投資活動が出来ていない、時間のロスが何よりも問題です。



どうやって社内失業状態を回避するか

では、どうすればこの最悪の状態を回避できるか。
私が提案するのは、

  • 積極的に仕事に手をあげる
  • 仕事をもらったときに、嬉しそうにする
  • 『仕事の報酬は次の仕事』という意識で、結果を返す
  • ひとりでに成長していける姿を見せる

まず、手をあげることで獲得できる仕事があるのなら、
やりましょう。
出来るか分からなくて怖いと思いますが、
まずなによりも主体的に手をあげる姿勢が大切です。

また、仕事を割り振ってもらえたら、嬉しそうな表情をしましょう。
「あ、次もコイツに仕事を頼もう」
と思ってもらえるために。
そして、『仕事の報酬は次の仕事』という意識で、
結果を返しましょう。

そして、先輩に教わったり調べたりして、
『私はひとりでに成長していける人なんですよ』
ということを、示しましょう。
よく、即戦力が欲しい、なんて言い方をしますが、
即戦力というのは、スキルが十分あるという意味ではなく、
現場へ投入すれば勝手に成長していく人のことを指すと、私は考えています。

これらを実践して、仕事をとってきましょう。



それでも社内失業状態を回避できなければ

退職しましょう。
社内失業状態になる理由は、本人の問題と環境の問題とが両方関わっているので、
本人の努力でどうにもできない場合もあります。
そんな場合、思い切って退職すればいいと思います。
一刻も早く逃げるべし。
「今転職したって、経験が無いから次が無い・・・」
と思うでしょうが、
その経験を積むことが出来ないわけですから、
逃げるのが良いと考えます。



おわりに

ずいぶんと暗い内容を書いてしまいましたが、
社内失業は誰にでもあり得る話です。
特に若い人には、時間を無駄にせず、
チャレンジングに生きてほしいです。