毎日が経営学

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新規事業に失敗した人は給料泥棒なのか?人が辞めていく会社で私が見たもの。

私が以前、新規事業担当で働いていた会社での話。



新規事業担当者が日々受ける批判

多くのメーカーでは、今現在儲けている既存事業と、
次の儲けを狙っている新規事業があり、
既存事業がダメになる前までに、新規事業がたちあがる、
ということを狙っていると思います。
私が働いていた、某メーカーのグループ企業L社では、
既存事業がどんどん縮小し、新規事業へのシフトを
余儀なくされている、そんな状況でした。


L社では、既存事業の人たちから、
「いつになったら新規事業はたちがるのか」
「新規の連中は遊んでいるように見える」
「ぜんぜん働いていない」
といった批判が、日々ありました。
中には、「あいつらは給料泥棒」というものまで。


はぁ・・・はたして、新規事業担当者は給料泥棒なんでしょうか。。。



新規事業担当者の仕事は何か

新規事業担当者の仕事内容は、

  • 自社の新しい商品の価値を提案し、仮説をたてる
  • その仮説を検証する
  • 上市までの様々な障害を調べ、乗り越えて新規事業を立ち上げる

などでしょうか。
新規事業って、絶対に立ち上げられるなんて約束はできないし、
「こんな商品なら、売れるんじゃないか」というような仮説は
すぐに壊れてしまいます。


その中で、死力を尽くして、知恵をふりしぼって仕事して、
それでも結果がでなかったような場合は、
少なくとも給料泥棒では無いはず。



既存事業担当者から見て、新規事業担当者がどう見えているか

日々のいろいろな批判から察するに、
既存事業担当者は、新規事業担当者を、

  • 既存事業は縮小しているのに、新規事業の担当者は危機感が無い!!
  • 既存事業担当者は残業しまくって頑張っているのに、新規事業担当者は早く帰る!!


という不満を抱えていると思います。
でも、新規事業って遊び心がとても大切だと思うので、
過剰なプレッシャーをかけても仕方がないし、
新しいアイデアを生もうとするときに、
長時間働けばアイデアが出るというのも、
おかしいですよね。



新規事業から見た、既存事業

逆に、新規事業担当者から、既存事業担当者は
どう見えているのかというと、

  • 試作のお願いをしても、そんなことしてられないと断られる
  • 会社を支えているのは俺たちなんだぜ、という威張った雰囲気を感じる


「はやく新規事業をたちあげろよ!」と言う割には、
ほんのちょっとした試作をお願いしたり、アドバイスを求めたりしても、
今の仕事が忙しいからと断られたりするんですよね。
協力すればすばやくプロトが作成できるのに・・・。


そうこうしているうちに、
L社はどんどん業績が悪くなり、
若手がたくさん退職していく、という事態になりました。
私も退職しました。



退職する社員の順番

まず、新規事業をがんばっていた若手が何人か辞めました。
次というか、それとほぼ同じ時期に、既存事業を支えていた人のうち、
とても優秀で若い人たちが辞めました。このあたりで私も退職しました。
そのあと、既存事業のキーパーソンが何人か辞めた、と聞きました。


見ていて、優秀な人から順番に辞めていく図、
社外でもやっていける人が退職し、
会社にしがみつくしかない人はいつまでも会社に残り続けるしか
選択肢が無い、そんな残酷な状況を目の当たりにしました。



新しい企画、新規事業は絶対に必要なもの

メーカーやサービスを提供する会社であれば、
必ず常に新しいものを考え続ける必要がある、と考えています。
そうすると、新しい企画を考えているその瞬間は、
その企画が利益を生んでいるわけではないですが、
絶対に必要な仕事です。
であれば、それが成功しようが、失敗しようが、
決して給料泥棒ではないです。
新規事業は失敗する確率のほうが圧倒的に高く、
担当した人達だけが直面した課題・苦労などなどは
なかなか理解されないもの。
それでも、新規事業を考え続けることを
やめないことが大切だと思います。