毎日が経営学

テクノロジーをビジネスにするための考え方を書いていくブログ

将来起業したい理系の大学生は、今なにを勉強するべきか

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僕は以前働いていた会社でも新規事業の経験があり、
今は大学の技術を事業にする仕事をしている、
という経歴のせいか、
学生が僕に、就活の相談をしてくることがちらほらあります。

その多くが、
「起業したい!」
ではなくて、
「○○起業(大企業)ってどうでしょう?」
という、割と大きめの会社への就活相談なのは、
ちょっぴり残念ですが。。。

そんな僕が、
将来起業して、バリバリのテクノロジーを活用して
ベンチャーをやっていこうと考えている学生は
今なにに取り組むのが良いのか、考えてみました。



まず、自分の専門分野の研究に全力投球し、サイエンスに向き合う

よく、学生のうちからビジネス的なことも
勉強するほうが良いんじゃないか、
と言われます。
もちろん、ビジネス的な知識を入れることは無駄では
ありませんが、
まずはどっぷりとサイエンスに浸かりましょう。

研究室に配属されているなら、
その研究室の分野の研究を極めましょう。
薬学、医学、情報、工学、理学、いろいろ毛色はありますが、
どの分野であっても、目の前のサイエンスと向き合い、
深く深く掘った経験は、肌感覚として培われ、
そのあとの人生に活きてきます。
大学を卒業した後、大人になってからこの肌感覚を
養おうとしても、なかなか難しいし、機会も少ないでしょう。

例えば、自分が深めたのは薬学だったのに、
起業して扱うテクノロジーが工学系だったとしても、
サイエンスに向き合った経験は活きます。

Twitterで、研究室しんどい投稿なども見ますが、
理不尽な場合でない限り、
体調を害さないように、がんばってほしいと思います。

論文読んで、自分で手を動かして実験して、
学会で発表して、質疑応答でボコボコにされて・・・
みたいな一連の経験は、あとでとても貴重な宝になります。



新卒で起業するか、大企業や既存のベンチャーに就職するか

この部分、とても賛否両論あるでしょう。
「まずは3年ぐらい、大企業で勉強するのがよい!」
という意見や、
「大企業に3年もいたらダメになってしまう!」
など。

まずは会社で働いてみよう

僕の考えとしては、
まずは大企業なり既存のベンチャーなりで、
仕事をしてみるのが良いと思います。

一度働いてみると、
一度も働いたことのない学生には見えなかったものがたくさん見えます。

それを経験し、問題意識をもってから、
起業するのでも遅くはないと思います。

大企業かベンチャーかは、どちらでもよい

まず働いてみる会社として、ベンチャーが良いか大企業が良いかですが、
これは一長一短なので、
僕はどっちでも良いと思います。
大企業VSベンチャーの構図では話が出来ないので、
自分が納得すれば、それで良いと思います。

注意としては、大企業に入った場合、
ベンチャーよりも会社が大きいせいで、
会社のビジネス全体が見えにくくなるので、
会社全体でビジネスモデルキャンバスを書いてみたりして、
自分が働いている会社の強みが何かなどを、把握しましょう。



社外の人と交流をもつ

ベンチャーであれば、必然的に社外の人とのやりとりは多いでしょうが、
大企業になると社内の人とばかり仕事をするということになると思います。
特に大企業で働く場合には、必ず社外にコミュニティを持ちましょう。
起業家のための勉強会だったり、
何かしらで社外の人と交流することで、
他社と自社を比べることができます。

自社だけに通用する常識や慣習に気付くことができるので、
大企業で働く場合、社外人脈は必須ですね。



良いメンターを見つけて、起業したいと伝える

メンターというのは、
広い意味で自分の相談にのってくれたり、
助言をくれたりする先輩のことです。

投資家だったり、どこかのベンチャーの社長だったり、
誰かしら信頼できる人を見つけてメンターにし、
そのメンターに起業したいという意志をハッキリ伝えましょう。

日本のベンチャー界隈はとても狭く、
みんな知り合いみたいな感じです。
そのネットワークに入ることも、とても大切な要素になります。

良いメンターであれば、
「起業したいんです!」
とハッキリ伝えたときに、的確なアドバイスをくれるでしょう。
もちろん厳しい意見も含めて、ズバッと。

私は2015年にベンチャーキャピタリストになりたいと言った時、
今でもお世話になっているメンターの方々(投資家など)からは、
「君にはまだ早いね」と言われました。
今になって冷静に考えると、その通りでした。

人とのネットワークが築けて、
起業したいという意志を発信していれば、
いつかその日は訪れるでしょう。
今は、起業家が枯渇しているのでなおさら。(笑)



最後に:やりたい仕事を思い切って伝え続ければ実現する

新卒で入社した会社にずっと居たいという人は
ずいぶん減ったとは思いますが、
まだまだ大手などの場合には、存在しますよね。

そんな人たちの中には、
「次が無いから、ここで働き続けたい」
という、ある意味ネガティブな理由の人もいるでしょう。
若手でも、今の会社を辞めた時に、次の働き口があるのか、
不安な人が多いと思います。
でも、良い人に自分の仕事の価値観や、
やりたい仕事を伝え続けていれば、
ポストが空いた時に誘ってくれたり、紹介してくれたりして、
実現すると考えています。

発信すれば、実現する!と思って、
前向きに仕事に取り組んでほしいです。


理系の大学生が、
就活や、今後の進路を考える上で、
少しでも参考になれば嬉しいです。





(おしまい。)

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ドラマ『シリコンバレー』某大学で技術をビジネスにする仕事をしている私から見た感想とあらすじのまとめ。シーズン1-1話:キーリソースに気付く

IT分野でのスタートアップを描いたドラマ、
シリコンバレー」シーズン1の1話を見ました。

とあるベンチャーの社長が、
「ドラマシリコンバレーいいぞ!勉強になるぞ!」
SNSで発言していたので、
真に受けて見てみました。

超おもしろい。
あるあるがいっっっっぱい詰め込まれてる。
そして、話の本筋も、
大学発の技術で事業を起こす自分の仕事にとても近く、
30分ずっと楽しく見れました。

これは全話見なきゃ!!と思いました。

あ、ネタバレしまくりますので、
ネタバレ注意でお願いします。



1話の核心は、KR(キーリソース)に気付くこと

主人公のリチャードは、
作曲家向けに、
盗作になってしまわないように、既存の曲を検索するサイトを開発します。
ところが、このサイトに対して、
入居中のインキュベータには、
「サイトじゃなくてアプリにしろ」
と言われたり、
TEDトークのプレゼンテーターに売り込んだ際に、
「私は作曲をしない」
などと言われてしまいます。

ところが、
主人公リチャードの創ったサイトを実際に試してみた2組の投資家(ギャビンとグレゴリー)が、
曲の膨大なデータを検索するスピードが、異常に速いことに驚きます。

ギャビン側「圧縮ファイルの中身を検索するなんてすごい!」
グレゴリー側「劣化させずに圧縮させることはすごい!」
と、この圧縮技術(キーリソース)が欲しくてたまらない様子。


ギャビン側は、リチャードに対して400万ドルの対価と引き換えに、
サイトの改良権利をよこせと要求。

グレゴリー側は、会社の創業を手伝うから、
会社の5%に対して20万ドルの出資をする、と要求します。

リチャードは悩み、一旦保留にしますが、
自分のつくったものを自分で育てるという志から、
創業を決意します。




狙った顧客セグメントに向けた価値ではない別の価値が大きく化けるケースは多い

このリチャードのケースのような事例。
作曲者というセグメントを狙って開発したが、
狙ったセグメントには受け入れられなかった。
でも、開発した技術自体は革新的で、
応用先によっては、Game changingな技術であった、
という事例。
実際に大学の技術を使った事業化でも、多々あります。
「ひょっとして、○業界に応用したほうがスゴイんじゃないの?」
と思いつく瞬間、
とってもワクワクする瞬間です。



その他、1話の小ネタ紹介

1話の中で見つけた、クスっと笑える小ネタや、
感心した表現などをあげていきます。


始まりがM&Aパーティー
Googleに2億ドルで会社を売った人のパーティーのシーンから、
はじまります。
その中で、会社を売った社長が、
「我々は業界を破壊もしているが、世界をより良い場所にしている」
と言っていた部分に、
とても共感しました。
普段扱う技術には、disruptive technology(既存業界を破壊する技術)や、
game changing technology(ゲームチェンジャー)がありますが、
それでも世界をより良い場所にしているかどうかで判断するというのは、
とてもシンプルで良いですね。


医者でさえ自分のサービスを売り込んでくる
主人公がパニック発作をおこして駆け込んだ救急病院の医師が、
バイタルセンシングから予防医療につなげるアプリを開発中で、
ここぞとばかりに売り込んできます。
良いですね、このアントレプレナー精神。


Appleのthink differentを、発想の転換と訳していた
日本語吹き替えと英語字幕の両方を見たのですが、
think differentを、「発想の転換」と訳していました。
私は、「自分らしくあれ」と聞いていたので、あれっと思いました。
まあ同じようなもんか?



起業したい人はもちろん、若い人みんなにおすすめ

なんていうか、ワクワクが詰まっているので、
これから起業を視野にいれている人はもちろん、
20代後半、30代前半くらいの人は、見て損はないと思いますね!

これから、シリコンバレーを見てはブログを更新していきます。(笑)




(おしまい。)

シーズン1-2話はこちら。
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ドローン開発のベンチャーが、受託を脱する道が見つからない

トレンドなのか、ドローン開発のベンチャーが、
私の周りにもいくつかあります。
アルゴリズムも含め、
ドローンとしてのモノを開発している会社です。

で、用途やこのあとの展開についての話などをするのですが、
なんか、拡大が見えないんですよね。

例えば、ドローンで建造物の点検をするとか。

建造物でうまくいったあと、
そのあとどうするのかの道が見えないんですよね。

ドローンのベンチャーがやっていることって、
多くの場合、
一時的な受託開発
でしかないんじゃないかなぁと思います。

そのあと、ニーズに答えたあとに
スケールする道が見えないんですよね。


さらに、そのあとにぶち当たる壁として、
それ、ドローンじゃなくてもよくない?
という厳しい意見。


どうしたら展開していくかな。
今のところ答えはありません。



(おしまい。)

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大学の研究成果による科学技術・テクノロジーで起業したいなら、起業家が足りない今が大チャンス

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ヒト・モノ・カネのうち、大学発ベンチャーに足りないのはヒト

経営的な視点でよく、
ヒト、モノ、カネって言いますよね。
大学発のテクノロジーをベースに起業する場合でも、
ヒト・モノ・カネがもちろん大切になります。


カネは、・・・お金。投資家からの投資だったり、
創業者の自己資金だったり。
起業する人自身にお金がどの程度あるかは分かりませんが、
投資家・ベンチャーキャピタルは多くいるので、
良いビジネスプランを描くことが出来れば、
カネは集まります。

モノ・・・は、
1つは大学の知的財産、特許、テクノロジー。あとは、大学の研究設備だったり。
大学からは多くの研究成果・発明・特許が出てきますので、
モノも、豊富にあります。

ヒト・・・これが問題です。
自分の仕事のエフォート100%を注ぎ込んで、
リスクをとって起業する起業家、これが居ないんです。


仕事をしていて、
「よし、この案件、特許のライセンスじゃなくて、ベンチャーだ!!」
となったときに、
「じゃあ誰が創業するの?」
となります。

この時、利益相反の関係から、
発明者の教授が、教授の立場を持ちながら社長をやることはできません。
正確には、法的に不可能ではないが、避けてもらいます。

そして、大学の職員でアソシエイトのような立場の私が
社長をやる場合、同様に今の大学としての立場を持ちながらはできません。
知的財産のライセンスの際などに、利益相反の問題が生じるからです。

結果、第3者に起業をお願いしたいのですが、
・・・・いないんですよ。ゼロじゃないんですが、希少なんです。



大学発ベンチャーが盛んなアメリカには、研究者の発明をもらって起業する、受け皿となる起業家が豊富にいる

大学発ベンチャーといえばアメリカ!というような印象を持っているでしょうか。
アメリカの大学とその周辺のエコシステム(人間関係)において、
日本と大きく異なっていることは、
研究者の発明をもらって起業するヒトがたくさんいることです。

研究者はその起業家が起業した会社のアドバイザーや、せいぜいCTOくらいで入り、
研究を継続する、というのが定石です。

この受け渡しがスムーズで、人材も豊富ですね。



日本では起業家が少ない・・・から、チャンス!

日本にはなぜ起業家が少ないんでしょうか。
単純なひとつの原因では無いとは思いますが・・・
失敗したら人生終わりといった文化でしょうか?
そもそも、起業して成功するという経験をしている人が周りにいなさすぎて、
イメージさえわかないでしょうか。

でもでも、そんな状況だからこそ、
起業したいっていう人は、売り手市場ですよ。

某投資マンガのインベスターZから引用します。

投資とは、現状に対して異議をとなえること

私はこの言葉がとても心に刺さっています。

現状に対する異議をとなえる。
起業家が少ない現状に対して、
おいしいモノなんだから、みんなもっとやろうよ!と、
異議をとなえる。
いち早く価値に気付き、乗り込んだ人から順番に、
大きな利益を得る。

もちろん、私自身もそのチャンスにあずかろうと思っています。(笑)

起業しましょ!





(おしまい。)

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