毎日が経営学

テクノロジーをビジネスにするための考え方を書いていくブログ

ドラマ『シリコンバレー』某大学で技術をビジネスにする仕事をしている私から見た感想とあらすじのまとめ。シーズン1-1話:キーリソースに気付く

IT分野でのスタートアップを描いたドラマ、
シリコンバレー」シーズン1の1話を見ました。

とあるベンチャーの社長が、
「ドラマシリコンバレーいいぞ!勉強になるぞ!」
SNSで発言していたので、
真に受けて見てみました。

超おもしろい。
あるあるがいっっっっぱい詰め込まれてる。
そして、話の本筋も、
大学発の技術で事業を起こす自分の仕事にとても近く、
30分ずっと楽しく見れました。

これは全話見なきゃ!!と思いました。

あ、ネタバレしまくりますので、
ネタバレ注意でお願いします。



1話の核心は、KR(キーリソース)に気付くこと

主人公のリチャードは、
作曲家向けに、
盗作になってしまわないように、既存の曲を検索するサイトを開発します。
ところが、このサイトに対して、
入居中のインキュベータには、
「サイトじゃなくてアプリにしろ」
と言われたり、
TEDトークのプレゼンテーターに売り込んだ際に、
「私は作曲をしない」
などと言われてしまいます。

ところが、
主人公リチャードの創ったサイトを実際に試してみた2組の投資家(ギャビンとグレゴリー)が、
曲の膨大なデータを検索するスピードが、異常に速いことに驚きます。

ギャビン側「圧縮ファイルの中身を検索するなんてすごい!」
グレゴリー側「劣化させずに圧縮させることはすごい!」
と、この圧縮技術(キーリソース)が欲しくてたまらない様子。


ギャビン側は、リチャードに対して400万ドルの対価と引き換えに、
サイトの改良権利をよこせと要求。

グレゴリー側は、会社の創業を手伝うから、
会社の5%に対して20万ドルの出資をする、と要求します。

リチャードは悩み、一旦保留にしますが、
自分のつくったものを自分で育てるという志から、
創業を決意します。




狙った顧客セグメントに向けた価値ではない別の価値が大きく化けるケースは多い

このリチャードのケースのような事例。
作曲者というセグメントを狙って開発したが、
狙ったセグメントには受け入れられなかった。
でも、開発した技術自体は革新的で、
応用先によっては、Game changingな技術であった、
という事例。
実際に大学の技術を使った事業化でも、多々あります。
「ひょっとして、○業界に応用したほうがスゴイんじゃないの?」
と思いつく瞬間、
とってもワクワクする瞬間です。



その他、1話の小ネタ紹介

1話の中で見つけた、クスっと笑える小ネタや、
感心した表現などをあげていきます。


始まりがM&Aパーティー
Googleに2億ドルで会社を売った人のパーティーのシーンから、
はじまります。
その中で、会社を売った社長が、
「我々は業界を破壊もしているが、世界をより良い場所にしている」
と言っていた部分に、
とても共感しました。
普段扱う技術には、disruptive technology(既存業界を破壊する技術)や、
game changing technology(ゲームチェンジャー)がありますが、
それでも世界をより良い場所にしているかどうかで判断するというのは、
とてもシンプルで良いですね。


医者でさえ自分のサービスを売り込んでくる
主人公がパニック発作をおこして駆け込んだ救急病院の医師が、
バイタルセンシングから予防医療につなげるアプリを開発中で、
ここぞとばかりに売り込んできます。
良いですね、このアントレプレナー精神。


Appleのthink differentを、発想の転換と訳していた
日本語吹き替えと英語字幕の両方を見たのですが、
think differentを、「発想の転換」と訳していました。
私は、「自分らしくあれ」と聞いていたので、あれっと思いました。
まあ同じようなもんか?



起業したい人はもちろん、若い人みんなにおすすめ

なんていうか、ワクワクが詰まっているので、
これから起業を視野にいれている人はもちろん、
20代後半、30代前半くらいの人は、見て損はないと思いますね!

これから、シリコンバレーを見てはブログを更新していきます。(笑)




(おしまい。)

シーズン1-2話はこちら。
landyny.hatenablog.com





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ドローン開発のベンチャーが、受託を脱する道が見つからない

トレンドなのか、ドローン開発のベンチャーが、
私の周りにもいくつかあります。
アルゴリズムも含め、
ドローンとしてのモノを開発している会社です。

で、用途やこのあとの展開についての話などをするのですが、
なんか、拡大が見えないんですよね。

例えば、ドローンで建造物の点検をするとか。

建造物でうまくいったあと、
そのあとどうするのかの道が見えないんですよね。

ドローンのベンチャーがやっていることって、
多くの場合、
一時的な受託開発
でしかないんじゃないかなぁと思います。

そのあと、ニーズに答えたあとに
スケールする道が見えないんですよね。


さらに、そのあとにぶち当たる壁として、
それ、ドローンじゃなくてもよくない?
という厳しい意見。


どうしたら展開していくかな。
今のところ答えはありません。



(おしまい。)

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大学の研究成果による科学技術・テクノロジーで起業したいなら、起業家が足りない今が大チャンス

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ヒト・モノ・カネのうち、大学発ベンチャーに足りないのはヒト

経営的な視点でよく、
ヒト、モノ、カネって言いますよね。
大学発のテクノロジーをベースに起業する場合でも、
ヒト・モノ・カネがもちろん大切になります。


カネは、・・・お金。投資家からの投資だったり、
創業者の自己資金だったり。
起業する人自身にお金がどの程度あるかは分かりませんが、
投資家・ベンチャーキャピタルは多くいるので、
良いビジネスプランを描くことが出来れば、
カネは集まります。

モノ・・・は、
1つは大学の知的財産、特許、テクノロジー。あとは、大学の研究設備だったり。
大学からは多くの研究成果・発明・特許が出てきますので、
モノも、豊富にあります。

ヒト・・・これが問題です。
自分の仕事のエフォート100%を注ぎ込んで、
リスクをとって起業する起業家、これが居ないんです。


仕事をしていて、
「よし、この案件、特許のライセンスじゃなくて、ベンチャーだ!!」
となったときに、
「じゃあ誰が創業するの?」
となります。

この時、利益相反の関係から、
発明者の教授が、教授の立場を持ちながら社長をやることはできません。
正確には、法的に不可能ではないが、避けてもらいます。

そして、大学の職員でアソシエイトのような立場の私が
社長をやる場合、同様に今の大学としての立場を持ちながらはできません。
知的財産のライセンスの際などに、利益相反の問題が生じるからです。

結果、第3者に起業をお願いしたいのですが、
・・・・いないんですよ。ゼロじゃないんですが、希少なんです。



大学発ベンチャーが盛んなアメリカには、研究者の発明をもらって起業する、受け皿となる起業家が豊富にいる

大学発ベンチャーといえばアメリカ!というような印象を持っているでしょうか。
アメリカの大学とその周辺のエコシステム(人間関係)において、
日本と大きく異なっていることは、
研究者の発明をもらって起業するヒトがたくさんいることです。

研究者はその起業家が起業した会社のアドバイザーや、せいぜいCTOくらいで入り、
研究を継続する、というのが定石です。

この受け渡しがスムーズで、人材も豊富ですね。



日本では起業家が少ない・・・から、チャンス!

日本にはなぜ起業家が少ないんでしょうか。
単純なひとつの原因では無いとは思いますが・・・
失敗したら人生終わりといった文化でしょうか?
そもそも、起業して成功するという経験をしている人が周りにいなさすぎて、
イメージさえわかないでしょうか。

でもでも、そんな状況だからこそ、
起業したいっていう人は、売り手市場ですよ。

某投資マンガのインベスターZから引用します。

投資とは、現状に対して異議をとなえること

私はこの言葉がとても心に刺さっています。

現状に対する異議をとなえる。
起業家が少ない現状に対して、
おいしいモノなんだから、みんなもっとやろうよ!と、
異議をとなえる。
いち早く価値に気付き、乗り込んだ人から順番に、
大きな利益を得る。

もちろん、私自身もそのチャンスにあずかろうと思っています。(笑)

起業しましょ!





(おしまい。)

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海外と違い、雑用ばかりしている日本の大学の研究者

「本気で研究したいなら海外へ行け」は正しい

「研究者として、本気でキャリアを考えているなら海外へ行け」
・・・という言葉を、
聞いたことある人は多いんじゃないでしょうか。

悲しいですが、
正しいと思います。

それはなぜかというと、
日本の大学は一流の研究者に雑用ばかりさせるから
ですよ。

もちろん、
大学としてそうさせたいわけじゃないです。
当たり前ですが・・・。

ただ、そういう構造になってしまっているんですね。



なぜ、一流の研究者が雑用をしているのか?

結論からハッキリ言いますと、
事務職員のマインドが、大部分の原因だと考えています。

大学は、多くの事務職員によって支えられています。
研究の費用関係や、企業との契約関係などなど、
たくさん事務処理仕事をたくさんの事務職員が支えています。

ここで、人が持つ、マインドについて。

「新しいことがやりたい!」
「世の中に、まだないものを生み出したい!」
「研究して、解明するんだ!」
といったマインドをもった人は、
研究者になりますよね。

では、事務職員さんのマインドはどうでしょう。

「誰もやったことがない事務処理をするぞ!」
「前例のない手続きは、わたしが率先する!」
こういったマインドの人が、事務職員になってると思いますか?
答えはNOです。
事務職員さんの持つマインドは、
「前例のないことはしたくない」
「書類にミスがあったら怒られる」
「とにかく地雷をふまないように、安全に仕事がしたい」
といった、
とっても保守的なものになります。


そこで、研究者が、
「こんど、○○にチャレンジしたいんだ!」
と思い立って、
申請書類を用意しようとします。
「何を用意したらいんだ?」
と思い、担当部門の事務職員に聞きに行きます。
すると、
前例がなく分からない、やめてほしい
という意図の答えが返ってきます。
それでも研究者はあきらめずにチャレンジするため、
自分で様々な人たちに根回しをしたり、
雑用をしたり、
大量の書類を用意したりする仕事に追われるわけです。

ここで、事務職員が、
「先生のやりたいこと、分かりました。では、こちらで
方法や申請に必要なものなどを調べます。」
といった、スーパーサポート事務もごくまれにいるのですが、
多くの事務職員さんはそうではない。

「先生、ここの書類に不備あります。
書き直してください。」
「先生、これは何ですか?意図が分かりません。」
「先生、これの必要性や妥当性が分かる資料を用意してください。」
こんなことばっかり言って、
起業家を支援してるつもりでイジめているVCみたいなこと
してるわけですよ。

これが、一流の研究者であっても雑用をせざるを得ないメカニズムの、
少なくとも大きな原因だと考えています。

研究の中身じゃなくて、枠組みの整備に必死になって毎日働いています。
そりゃ、枠組みが整備された海外の大学に行きたくなって当然ですよ。



どうすれば日本の大学でも、研究者の雑用を減らせるのか

これに対して、
どうアクションしていけば日本の研究者が研究に集中できるのかという
イデアは、
現在私にはありません。
どうしたらいいでしょうか、日々悩んでいますよ。

決して、日々がんばって業務にあたっている
事務職員さんのことを悪く言っているわけではありません。
私自身、とても支えられています。
ただ、斬新なことや前例のないことが溝に落ちてしまう
構造になっているんですよね。
それをどうにかできないかなぁ・・・と思います。




(おしまい。)

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